今日は「剱岳 点の記」を鑑賞しました。
明治39年、陸軍は国防のために日本地図の完成を急いでいた。陸軍参謀本部測地測量部の測量手、柴崎芳太郎(浅野忠信)は最後の空白地点を埋めるため「陸軍の威信をかけて、剱岳の初登頂と測量の使命を果たせ」と命令される。剱岳はその険しさもあって測量部員たちも未踏峰の山であった。創設間もない「日本山岳会」も海外の最新装備を使い、剱岳の初登頂を目指しており、芳太郎は「山岳会に負けてはならない」との厳命も受けるのであった。彼は前任の測量手・古田盛作(役所広司)のアドバイスを受け、地元の案内人・宇治長次郎(香川照之)とともに、登頂のための手がかりを探るべく調査を開始する。
CGを使っていくらでも映像が加工できる現在、役者、スタッフが一体となって本当に山に登り、本物だけが持つ荒々しさや迫力を見事スクリーンに焼き付けている映像のすばらしさは言葉では表しきれません。まるで自分自身が山に登ってでもいるかのように、思わず息をつめてしまうシーンの連続に、本作に出演した俳優の皆さんが「これは撮影ではない。監督が最初に“これは行だ”といったのは嘘じゃない」と思ったというのもうなずけます。
そして自らの仕事に信念を持ち、それを淡々とこなすプロフェッショナルな男たちの姿が素晴らしい。当時の測量士たちが成し遂げた偉業と、本作に取り組んだ俳優、スタッフの作品に対する姿勢が同じ重みを持って胸に迫り、良くぞこの困難な仕事を成し遂げたと、ねぎらいの言葉をかけたくなることは間違いありません。 18歳より映画の世界に入って撮影監督として50年、黒澤明監督に師事し、本作が初監督作品となる木村大作監督ですが、この監督デビュー作を持って偉大なる日本映画界の先人たちにならんだ、いや、いきなり超えてしまったといっても過言ではないと思います。ラスト、エンドクレジットが肩書きなどを全部はずし、「仲間たち」として上下ではなく、横から出てくるのが印象的でした。誰か一人でも欠けてしまえば本作は完成しなかったという監督からの熱いメッセージなのでしょう。正直、目頭が熱くなってきましたよ。
なんとなく鑑賞するのを先延ばしにしてしまっていたのですが、劇場で見ることができて本当によかったと本気で思える作品でした。やはり劇場には年配の方が多かったのですが、老若男女関係なく、一人でも多くの方に鑑賞していただきたいと本気で願う作品です。
原作、オフィシャルブック
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