それまでTV界で活躍していた喜劇王、メル・ブルックスが1968年に自ら監督・脚本を担当し映画界に進出、その年のアカデミー賞オリジナル脚本賞を受賞した「プロデューサーズ」。その後、この作品は2001年にメル・ブルックス自身の制作・作曲によりミュージカル化されブロードウェイで上演、大ヒットを記録、演劇界のアカデミー賞と称されるトニー賞を史上最多の12部門受賞。 そして今回、ミュージカル版を元に再映画化したのが本作「プロデューサーズ」です。
なんといっても登場人物たちが魅力的かつ、ひと癖もふた癖もある連中ばっかり(笑)。主人公の落ち目プロデューサー、マックス(ネイサン・レイン)は色ボケの老婦人をだまして巻き上げた金で生活していたり、自身も含めスタッフも全員ゲイの演出家、ビルの屋上に住み、鳩を飼っているナチスの信奉者など、マシュー・ブロデリック演じる会計士のレオやユマ・サーマン演じるちょっと変わったスウェーデン生まれの秘書ウーラくらいの変人ぶりではこの映画の中ではかすんで見えます。どうすればこんな個性的なキャラクターを創造できるのか、メル・ブルックスの頭の中をのぞいて見てみたくなりますよ、ホント(笑)。また、これらのキャラクターを演じる役者の皆さんも芸達者がそろっており、特にネイサン・レインやマシュー・ブロデリック 、ロジャー・デ・ブリーとカルメン・ギアを演じるゲイリー・ビーチやロジャー・バートらは舞台版でも同じ役を演じていただけあって、映画版でも自らの役を嬉々として演じております。特にゲイリーやロジャーのゲイっぷり(笑)はしばらく夢に出てきそうなキャラの濃さ。
ミュージカルシーンは、舞台版でも演出・振り付けを担当したスーザン・ストローマンが監督を担当しているだけあって、見事に舞台の楽しさを映画に変換しており、さらに、映画であることをフルに生かしてスケールアップ、映画版ならではの迫力を生み出しています。特にレオが舞台制作のために老婦人からお金を巻き上げていく様子を再現したシーンはロケーション撮影も行われているようで壮観。やはり、ミュージカルを映画化する場合はきちんとお金をかけなきゃだめだなあと、改めて思わされます。
そしてなんといっても劇中劇である最低のミュージカルとなるはずの「春の日のヒトラー」のおかしさ。自身もユダヤ人であるメル・ブルックスが徹底的にナチとヒトラーを皮肉って笑い飛ばすこのシーンには、エンターテイメントで 観客を楽しませながらも、その中にサラリと毒気をしのばせるエンターテイナーとしての気概を感じさせてくれます。
徹頭徹尾、観客を楽しませることに専念した見事なエンターテイメントムービーであり、ブロードウェイに行くことのできない世界中の人たちに、舞台版の楽しさをまるごとギュギュッと真空パックにして届けてくれるような、とにかく楽しい作品です。最近いやな事が多いなあなんて思っている人は必見ですよ。大いに笑って憂さを晴らしましょう。そうそう、この映画は絶対最後の最後まで席を立ってはいけませんよ。いろいろお楽しみがありますから。メル・ブルックス本人も出てくるしね。
公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/theproducers/
ブロードウェイミュージカル版のサイトです。映画を見て本場のブロードウェイにいきたくなっちゃった人は参考にしてください。もちろん英語のサイトですが。
http://www.producersonbroadway.com/
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