今日は、ウイルスによって引き起こされるパニックを描く『コンテイジョン』についてです。多少ネタバレ有りですのでご注意ください。
たった一回の接触。それはほんの一瞬から始まった―
「会えてよかった」。飛行機を待つ間、かつての恋人ジョン・ニールと携帯電話で話すベス・エムホフ(グウィネス・パルトロウ)。香港に出張したベスは、夫のミッチ(マット・デイモン)が待つミネソタの自宅にまっすぐ帰らずに、シカゴでジョンと密会したのだ。
ベスは咳込み発熱していた。そして、同じような症状の人間が各地でなくなる。香港ではカジノのウエイターが、ロンドンではウクライナ人のモデルが、東京でもビジネスマンがバスの中で突然倒れる。
何かあると最初に嗅ぎつけたのは、フリー・ジャーナリストのアラン・クラムウィディ(ジュード・ロウ)だ。彼は東京で男が倒れる映像をブログにアップし、政府が隠す伝染病ではないかと指摘する。
帰国から2日後、ベスの容態が急変、激しい痙攣を起こして意識不明に。救急車で運ばれるがまもなく死亡、茫然とするミっちに追い打ちをかけるように、ベスの連れ子クラークにも異変が。ミッチが帰宅したときには、すでにクラークの息はなかった。
報告を受けた世界保健機構(WHO)が動き出し、ドクター・レオノーラ・オランテス(マリオン・コティヤール)らが調査を始める。まもなくウエイターの妹とベスの不倫相手が死亡。ベスの解剖が行われるが、彼女の脳を見た医師は息をのみ、「全方面に通報しろ」と助手に命じる。
アトランタの疾病予防管理センター(CDC)も調査に乗り出す。エリス・チーヴァー博士(ローレンス・フィッシュバーン)は危険を承知で、部下のドクター・エリン・ミアーズ(ケイト・ウィンスレット)をミネソタに送り込む。まだ病名がわからない今、彼女の任務は感染が疑われる人々の隔離だ。
ミッチはすでに隔離されていたが、なぜか何の症状も出ない。ベスの脳細胞をCDCのドクター・アリー・ヘクストール(ジェニファー・イーリー)が分析するが、どの抗体にも反応しない。
各国が正体不明の恐怖に怯えるなか、CDCから依頼されたカリフォルニア大学のドクター・サスマンが、コウモリと豚のウィルスが混ざった新種のウィルスだと解明するが、現時点では治療法もワクチンもない。
危機は世界規模となった。オランテスは香港で中国衛生部のスン・フェンと合流、WHO、CDC、諸国の衛星担当者がビデオ会議を開く。WHOはウィルスが48時間以内に世界主要都市に拡散すると宣告、もはや一刻も早いワクチン開発に全力を注ぐしかない。
だが、ウィルスは変異し、ワクチン開発は進まず、感染は恐るべき速度で拡大していく。折しもネットでは、米仏が治療薬を極秘に製造しているという噂が広まり、スン・フェンは故郷の村人のワクチンと引き換えにオランテスを拉致する。
任務半ばで感染するミアーズ。恋人に極秘情報を流してしまうチーヴァー。娘を家に閉じ込めるミッチ。それぞれが愛する者を必死で守ろうとする中、今やブログ訪問者が1200万人に達したアランが、政府は有効な治療薬を隠していると主張する。恐怖はウィルスよりも早く感染し、人々はパニックを起こし、各地で暴動が勃発する。それぞれが選んだ決断は、そして明かされるウィルスの発生地点とは……?
スティーヴン・ソダーバーグ監督の最新作は、新種のウィルスが発生したら世界中の人々がどのような状況に追い込まれるのかをリアルに映像化したシミュレーションムービー。
ウィルスによって引き起こされるパニックを描いた映画といえば『アウトブレイク』を思い出す方も多いことでしょう。あちらの作品が軍部の陰謀など、いかにも映画的な趣向を駆使して描かれていて、どこか絵空事のような作品であるのに対し、本作は抑制された演出と、世界を股にかけるグローバルな展開がいつ現実に起こってもおかしくないリアルさに満ちていて、非常に恐ろしいですね。ホント、映画館で座席に座っていても、「こんな閉鎖的な空間にいてもいいのか?」って気分になっちゃうし(笑)、うかつに咳もできない感じで、あんなに息苦しい雰囲気の中で映画見たのも珍しかったなあ。
贅沢なオールスターキャストの使い方も本作の見所の一つ。わざわざグウィネス・パルトロウをキャスティングしておきながらあっさり死んじゃうんですから。しかも死亡原因を調べるために頭をぱっくり開頭されちゃうんですよ。さらに夫役のマット・デイモンの反応が怖い。医者から奥さんが死にましたと告げられているのに、妻とはいつ会えるんですか?とか言っちゃうんですね。状況が飲み込めていない人間の不自然な反応が、この事態の恐ろしさをさらに強く印象づけます。
そして、ある意味ウイルスより怖いのが、ジュード・ロウ演じるジャーナリスト気取りのインチキブロガー、アランの存在。勝手に陰謀論を撒き散らし、社会を必要以上に混乱に陥れるんだから厄介この上ない。ホント、コイツを見ていて、震災発生直後、原発の事故が明らかになった後の様々デマ、例えば「ヨウ素を摂取するためにうがい薬を飲むとよい」とかいうのを思い出しましたよ。
最後に、映画は感染一日目に戻って終わリます。森林破壊によって未知のウイルスが人間界に現れてしまう、元をたどれば人間が自分で自分の首を締めているようなものであるという矛盾。そして、グローバル化によって様々な人が地球上を行き来する今、感染の恐怖はいつなんどき発生してもおかしくはないという事実。現代社会に対する警鐘もきちんと盛り込まれた一級の娯楽作品です。
満足度:★★★★☆(5★満点)
公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/contagion/index.html
サントラ
スティーヴン・ソダーバーグ監督作品


