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2015年07月05日

グローリー 明日への行進

今日は『グローリー 明日への行進』についてです。

アメリカの黒人たちによる公民権運動の指導者であり1964年にはノーベル平和賞を受賞した偉人、マーティン・ルーサー・キング牧師。本作は、ハリウッド映画史上初めて、彼の活動の映画化に成功した作品。本年度のアカデミー賞主題歌賞を受賞しています。

キング牧師が暗殺されてから約50年、アメリカ史に名を残す偉人であるため、一度くらいは彼を題材とした映画が製作されていても不思議ではないように感じますが、意外なことに今回が初めてなんですね。理由は色々あるようなんですが、偉大すぎるがゆえに、キング牧師の人生全てを描こうとしたりして、「こりゃ無理だ」ということになったりしたようです。

そこで本作では、キング牧師のすべてを描くのではなく、彼が関わった出来事の中でも特に有名な、アラバマ州セルマで選挙権を求めて黒人たちが行ったデモ行進の前後に焦点を当てて映像化。物語をタイトにすることで、キング牧師や彼を取り巻く人々の苦悩や葛藤を描き出すことに成功しています。

選挙人の登録に来た黒人女性に対し、普通だったら答えられないような理不尽な難問をふっかけて追い払うなど、当時の南部の白人たちによる、黒人への差別の卑劣さには憤りを感じること必至。とくに選挙権を求めて行進する黒人たちに警官たちが暴行を加えるシーンの凄惨さは見るに耐えません。年老いた母と祖父を連れて食堂に逃げ込んだ青年ジミー・リー・ジャクソンが追いかけてきた警官に射殺されるシーンには、本当に憤りを感じました。当時の南部の白人たちがそもそも黒人の人達を人間として扱う気がさらさらないということがよくわかります。そして、これらが全て実際起こったこと、しかもほんの数十年前のことである、という事実にただただ暗澹たる気持ちになります。しかも、これらのシーンは全て、実際にアラバマ州で撮影することでリアルさを追求しているのもすごい。現在生活している住民はどんな気持ちになったんだろうと思ってしまいます。

本作で監督に抜擢されたのは自身もアラバマ州出身で、インディペンデントの世界で活躍してきた黒人女性監督エヴァ・デュヴァネイ。本格的なメジャー長編を監督するのは初めてですが、人種差別が公然とまかり通る時代の空気や、一人の人間としてのキング牧師の姿を見事に映像化していましたね。

こうしてキング牧師と、多くの無名の黒人達の努力によって多くの人権上の問題が解決したのが現代のはず・・・なのですが、日本でも報道されるように、今でも警官による黒人への理不尽な対応など、どうしても差別感情があるのではないかと考えてしまう事態がいくつも発生しているのが現状。最近でも、白人至上主義者の青年が黒人教会で銃を乱射し、9人が殺される事件が発生するなど「今は21世紀じゃなかったっけ?」と言いたくなる状況が続いています。果たして、キング牧師が目指した真の意味での差別のない世界の到来はいつになったら実現するのだろうか、彼が生きていたら、この現状に何を思うだろうかなど、色々な思いが胸に去来する、そんな作品でした。

公式サイト
http://glory.gaga.ne.jp/

主題歌(MP3版)&サントラ(MP3版)

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posted by 支配人見習い1号 at 22:49| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画 (カ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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「グローリー ー明日への行進ー」
Excerpt: 清く正しい。言い換えれば作品としては何の変哲も無い。もちろん、非暴力を貫いたキング牧師は素晴らしいし、偉大な人物である。そしてその偉大さをあたかもちょっとしたリーダーシップを備えた一市民のように描いて..
Weblog: ここなつ映画レビュー
Tracked: 2015-07-07 17:58
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