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2016年03月21日

キャロル

今日は『キャロル』についてです。ちょっとネタバレの部分がありますので、未見の方はご注意ください。

本作は『太陽がいっぱい』『見知らぬ乗客』などの原作者として知られるミステリー作家、パトリシア・ハイスミスが1952年に発表した小説の映画化作品。本年度のアカデミー賞では主演女優賞や助演女優賞など6部門にノミネート。第68回カンヌ国際映画祭ではルーニー・マーラが主演女優賞を受賞しています。

1952年、クリスマスが近づくニューヨーク。デパートのおもちゃ売り場でアルバイトをしているテレーズ(ルーニー・マーラ)は、一人の女性客に目を留めた。彼女の名はキャロル(ケイト・ブランシェット)。6才の娘のクリスマスプレゼントを買いに来たという。エレガントで魅力的な彼女から目が離せなくなるテレーズ。キャロルが忘れていった手袋を届けに行ったのをきっかけに、彼女と個人的にも親しくなっていく。そして、キャロルが夫ハージ(カイル・チャンドラー)との愛の無い結婚生活に疲れ、離婚しようとしていることを知る。ある日、キャロルの家にテレーズが招かれ、楽しいひと時を過ごしていると、別居中のハージがやって来る。実家に帰省するために娘を迎えに来たというのだ。予定より早い夫の到着に苛立ち、彼と口論になるキャロルはテレーズにも八つ当たりしてしまう。テレーズは失意の中、家に帰っていく。するとそこへキャロルから電話がかかってきた。謝るキャロルは、テレーズの家を尋ねる約束をするのだった。翌日、弁護士から呼びだされたキャロルは、ハージが、キャロルのテレーズら女友達との親密すぎる関係を理由に母親失格であるとして、離婚時の親権を共同親権から単独親権にしようとしていることを知る。離婚したくないハージが、様々な口実で脅しをかけてきているのだ。審問まで、娘と会うことを禁止されてしまったキャロルは、クリスマスプレゼントのカメラを携えてテレーズの家を訪ねる。惹かれ合う二人は、キャロルが運転る車に乗って旅に出るのだが…。

同性愛を公にすることが出来ず、それどころか、治療が必要な精神的な病であるとされていた時代。そんな時代に生きた二人の女性の激しくも切ない愛が、非常に美しい映像でスクリーンに描かれています。

キャロルの凛とした女性の強さと脆さを演じるケイト・ブランシェット、テレーズのまだ本当の自分に気づいていない初な可愛らしさを演じるルーニー・マーラ。どちらの演技も素晴らしかったです。監督は『ベルベット・ゴールドマイン』『エデンの彼方に』のトッド・ヘインズ。自身もゲイであることを公言し、これまでも同性愛者たちの苦悩や悲しみを描いてきた彼が、本作でも、絶対に同性愛が認められなかった時代を舞台にして同性愛を描き、当時、声を上げることが出来なかった人々の思いを代弁するかのような、美しく、せつない作品に仕上げています。

原作者は『太陽がいっぱい』などで知られるパトリシア・ハイスミス。実は彼女自身同性愛者であり、本作は、彼女が実際にデパートでアルバイトをしていた時に見かけたある女性に惹かれたことや、ハイスミスと同性愛関係になった女性が、ハイスミスとの情事の最中を私立探偵に録音され、離婚裁判で親権を失ってしまったという実話がベースとなっています。実際劇中ではこれらの出来事が克明に描かれており、ほぼ実話であるということを知って鑑賞すると、なおさら悲しさが募ります。

実は本作の原作は当初、パトリシア・ハイスミスの名前ではなく、クレア・モーガン名義で出版され、1990年になってようやくハイスミスの作品であることが明かされました。作品の発表当時、ハイスミスは長編第1作で、後にヒッチコックによって映画化される『見知らぬ乗客』のヒットにより一躍ベストセラー作家の仲間入りを果たしていた頃。同性愛が公にできなかった時代、売れっ子作家が同性愛をテーマにした作品を発表して、世間から非難されることを恐れた出版社側の自主規制が理由のようですが、このことから見ても、当時同性愛の人々がどれほど生きづらい思いをしていたかが窺い知れるというものです。

すでに劇場公開はほぼ終わっていると思いますが、DVDなどが出てからでも良いので、ぜひ見ていただきたい作品です。

公式サイト
http://carol-movie.com/

原作(kindle版)、サントラ(CD、MP3)

トッド・ヘインズ監督作品

インスタントビデオ版

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posted by 支配人見習い1号 at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 (カ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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