アール・ブルックス(ケビン・コスナー)。地元を代表する実業家であり、美しい妻エマ(マージ・ヘルゲンバーガー)と娘のジェイン(ダニエル・パナベイカー)にも恵まれ、誰もがうらやむような暮らしを送る男。しかし彼には、誰にもいえないもう一つの顔があった。指紋の殺人鬼。そう、彼は殺人依存症であり、いけないとわかっていても、殺人をせずにはいられないという、恐ろしい欲望を抱えていたのだ。それでも家族のために2年もの間自らを抑制し続けてきたブルックスだったが、彼の心に巣くうもう一つの人格マーシャル(ウィリアム・ハート)にそそのかされて、ついに再び殺人に手を染めてしまう。しかし、久しぶりの殺人だったためか、カーテンを開けっ放しで殺害を行ってしまうというミスを犯したことに気づく。すると案の定、彼の元にミスター・スミス(デイン・クック)と名乗る男が現れ、ブルックスの殺人現場を納めた写真をみせ、警察に通報しない代わりに、彼の殺人に同行させるように要求してきた。一方、トレイシー刑事(デミ・ムーア)は殺害現場を一目見て、指紋の殺人鬼が再び犯行を開始したことに気づき、逮捕への決意を新たにするのだった。
ケビン・コスナーにデミ・ムーア。まるで90年代前半の映画か、と思ってしまうようなキャスティング ですが、もちろんそんなことはありません。本作はアメリカでは去年公開され、小規模ながらスマッシュヒットを記録した異色作なのです。
常にヒーローを演じ続けてきたケビン・コスナーが今回演じるのは、なんと連続殺人犯。しかも、この主人公の殺人鬼の設定が非常におもしろい。富も名声も手に入れ、家族にも恵まれているのに、殺人依存症。そんな自らの欲求を抑えるために、とりあえず断酒会に通っている(断“殺人”会なんてもちろんないし)というのだから、人をくってますね。しかも、彼の心には彼を殺人に駆り立てるもう一つの人格が巣くっており、この二人のやりとりがまたブラックユーモアとシニカルさにあふれているのです。
もう一つの人格マーシャルを演じるのは、最近では「バンテージ・ポイント」での大統領役が記憶に新しいウィリアム・ハート。殺人鬼のもう一つの人格という役柄からは想像しにくい、紳士的で知的なたたずまいのキャラクターを見事に表現。
そして、離婚訴訟のトラブルを抱えながらも、果敢に事件に挑む女刑事を演じるのはデミ・ムーア。彼女もまた、ハードなアクションにも挑戦するなど、今までのイメージを覆す熱演を見せてくれます。
異色のキャラクターに果敢に挑戦したケビン・コスナー、単純なハッピーエンドではない余韻の残るエンディングなど、大作映画にはない味のある意欲作として、非常にお薦めの作品です。
公式サイト
http://www.mrbrooks.jp/
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